Infinito Nirone 7

白羽の矢を刺すスタイル

劇場版 SHIROBAKO のエンディング

この記事は SHIROBAKO ADVENT CALENDAR 2020 10 日目の記事です。

とにかく劇場版 SHIROBAKO のエンディングが素敵なのだ。多分にネタバレを含むので、まだ劇場版を見ていない方はいますぐ U-NEXT にサインアップして見てほしい。何ならテレビ放送の分まで配信されているので、それをみてから劇場版を見てほしい。今なら初月無料(劇場版 SHIROBAKO は課金が必要だけど 1 週間見放題)だし(一応申し添えておくと、自分は U-NEXT の回し者でもなんでもない)。

この記事の趣旨としては劇場版 SHIROBAKO のエンディング映像を見てもらいたいが、ここにそれを貼り付けるわけには行かないので、エンディングテーマを歌う fhana さんの「星を集めて」の公式 PV を置いておく。

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劇場版では、劇中劇である劇場アニメ SIVA の敗北エンディングからそのまま fhana の星を集めてが流れ始め、エンディングにうつる。

このエンディングでは様々なキャラクターのその後を描いている。キャラクターごとにその様子も三者三様で、テレビ放送のころから変わらずバッティングセンターに通っていたり、釣り堀でぼんやりしていたりするなか、劇場版の作中にでてくるいろいろな細かい伏線を回収している場面もある。

  • エンディングに入る直前のセリフ「行こう。うまくいくのかいかないのかわからないけど、夢に向かって進もうよ。ジタバタと見苦しく、前に進もう。私たちの明日を目指して、ヨーソロー。」が、エンディング後のパートの続編プロジェクト始動につながっているところ。
  • 終盤、SIVA のクライマックス作り直し会議の場面で「髪を切りに行く予定だったけど」とぼやきつつも SIVA を完成させるために作り直しにのった新川さんがパーマを当てながらゆっくりしているところ。
  • セリフは殆どないけど、大倉さんとの打ち合わせのために飲み屋に通う渥美さん。
  • 序盤でもやもやを打ち明け合うために松亭にあつまった5人が、今度は晴れやかな気持ちで松亭にあつまるところ。
  • SIVA を作っている間ほんのちょっとだけ描かれた、野亀さんが「もう二度と同じ轍はふむまいと」と言っていた第三飛行少女隊の続編プロジェクトが最後の最後で進んでいることがわかったところ。
  • くわえて、劇場版の序盤でアニメバブル崩壊をなぞるように語られた「限界集落過疎娘」の続編も考えられているところ。

エンディングテーマの「星を集めて」も劇場版 SHIROBAKO の展開そのまま、主人公のひとりの宮森がムサニで第三飛行少女隊を作っていた頃のスターたちを呼び戻し SIVA を作る流れはまさに歌詞の通りだった。ランプのように願いを叶えてくれる人たちを集め、そのきらめきは本当にムサニの救いになった。そしてまたそれぞれの場所で夢を形にしていく。あの頃のムサニからは散り散りになって遠く離れてしまったとしても、きっと未来にはまた同じ仕事をしているかもしれないし、それで少しずつ思い描いた夢に近づいていけたらいいな、ということを歌っているんだと思う。エンディングテーマの制作秘話もあるのでぜひ。

本当は、劇場版物語序盤に5人が松亭で集まって仕事の悩みを打ち明け合うところとか、そこから子どもたちにアニメーション制作を教えているうちに圧倒され教えられ励まされた5人とか、低空飛行中のムサニでくすぶる宮森にエールを送る平岡とか、瀬川さんからの叱咤と下柳さんからの代理オファーと奥さんからの優しい期待に立ち直る遠藤さんとか、舞茸しめじさんがりーちゃんの助力を得て物語を作りきり「枠や限界を決めるのは良くないね」と言ったところとか、りーちゃんと舞茸しめじさんの関係性が師弟から商売敵になったところとか、SIVA のクライマックスを作り直したい本心を隠している監督にヤキモキする宮森とか、クライマックス作り直し会議のときに監督の弱音にブチ切れて「なんすかそれ、クッソムカつく!絶対に想像以上のもの上げてやろうじゃないですか!!」と一気にやる気をぶち上げた遠藤さんとか、あるいは作中で出てきた場所は実在しててこの辺です!とかもっと他にも見どころがあると思うけど、自分の中で一番ぐっと来たのがエンディングのなんでもない日常のみんなだったので、これをアドベントカレンダーに書くことにした。この映画、登場人物たちがいろいろなことから気づきを得て、腐りそうになっても前を向くシーンが多い。そして前を向くきっかけをくれる周囲の優しさもしっかり描かれているのが本当に素敵な映画だと思った。

ミムジーとロロが、生きるって永遠にオレタタエンドだから、と言ってなんとなく納得する締めも素敵だ。SIVA を作り切ることで立ち直りを見せるまでが劇場版 SHIROBAKO のムサニだが、最後に続編を動かし始めるシーンで終わるように、これからもずっとあがき続けていく。 あとやっぱり、杉江さんはすごい。ただアニメを作るだけじゃなく、次世代どころか次々世代にまで託す思いがあるからこそ、半隠居の身だといいつつも杉Gのアニメーション教室を開いたんだと思う。こんなおじいさんになりたい。

最後に、SIVA のアニメーター募集にあたって木佐さんが電話を受けたときにいた場所は奥多摩周遊道路、奥多摩湖側から風張峠へむかう序盤の上り坂であることと、エンディングではアウターチェーンリング(ペダルの付いている側の一番大きいギア == 重たいギア)を使って結構な斜度の坂をすごいスピードで登っている様子に「それ絶対ヒルクライムで優勝できるし世界的に活躍できるよ」と思ったことを記してこの記事を締めることにします(あの道、ヒルクライムの練習にはもってこいの場所ですよね、さすがです)。あとは、監督ほどではないにしても腹を育ててしまった私は来年ちゃんとシュッとすることを誓いたいと思います。