Infinito Nirone 7

白羽の矢を刺すスタイル

SHIROBAKO で語られる各キャラたちのはじまり

この記事は SHIROBAKO Advent Calendar 2018 10日目の記事です。

adventar.org

SHIROBAKO Advent Calendar 2015 から数えて 4 回目となる今年の記事は、SHIROBAKO に登場するキャラクターたちがどういうきっかけでアニメーション業界をこころざしていたかを振り返ってみようと思います。

アニメーション同好会の5人

言わずもがな、一話冒頭で制作した神仏混淆七福神から始まる 5 人のキャリアですが、全員役割は異なるものの「アニメーションを作ることが楽しい」というところに原体験があって業界に入ってきています。一方でどういうところに楽しさを見出しているかはそれぞれに違っていて、絵を描くのが好きな絵麻ちゃん、脚本という形で物語を表現したいりーちゃん、CGという形で絵をつくりたいみーちゃん、声の演技を磨きたいずかちゃんなどなんらかの技術に楽しみを感じている4人に対して、純粋に5人でアニメーションを作る工程が楽しくその思い出の延長上で業界に飛び込んだみゃーもりという構図があるように思います。

ところで、三女を機に設定制作に関わることになり初めてムサニに来たときのスーツでシュッとしたりーちゃん可愛すぎませんか。

遠藤さんと下柳さん

タローの雑な伝言ゲームで険悪なムードになってしまった遠藤さんと下柳さん。しかし実はふたりとも、アニメーション業界に入ろうとおもったきっかけはイデポンという同じアニメに心を打たれたから。 イデポン展で思いがけずふたりがそろい、展示を見て適当な感想を述べてしまうタローに突っ込むうちにアツくなり、次第に意気投合しはじめるシーンは涙なしには語れません。 「ハードボイルドっすよねぇ…生きるのがむなしくなるような」とタローがドヤ顔で言ったところにふたりで「違う!!」と全否定したあたりからはもう止まりません。「俺はまだ絶望してないんだ!」をこのときの遠藤さんが言うのは、徐々に3DCGが自分の得意とする仕事を奪っているように感じ苛立っていたところから立ち直る最高の瞬間ですよね。

大倉さんと河野さん

大倉さんは美術、河野さんは音響効果として、三女とえくそだす!に関わっていますね。それぞれ関わった作品も仕事も全然別ですが、もともとはふたりとも映画の仕事をしたかった過去があります。そこから知り合いづてにアニメーションの仕事をすることになり、気がつけば何十年もの間アニメーションに関わり続けています。そしてさらに共通するのは、最初に目指した業界ではないものの、アニメーションの仕事が楽しくなって、それを続けているということ。アニメーション同好会の 5 人や遠藤さん、下柳さんとちがって当初の業界ではないところで仕事をしているものの「でも続けないと、仕事って面白くならないからさ。」と河野さんが言うところに、長いキャリアのなかで見出したモチベーションの源泉があるように思います。

安藤さん

三女が始まる前に入社した制作の安藤さん。以前から同人誌をつくることに情熱を燃やしており、根っからのアニメファンであることが描かれています。そしてその好きがモチベーションとなって制作に関わることになりました。採用面接でもそのなりゆきが語られていますよね。仕事という難しいことを抜きにしてひたすらアニメが好きだからというところに始まりがあるのがとても素敵です。

ところで、なぜアニメ業界で仕事をしているのかを問われた佐藤さんが「好きだから」と言ったときに目を輝かせて「何もえですか!!」と訪ねたときの安藤さん、可愛すぎませんか。

丸川社長

杉江さんや大倉さんなどと一緒に武蔵野動画のころから仕事を続けてきた社長。過去の回想時には、アンデスチャッキーの制作現場でデスクとして働いているところが描かれました。このころからずっとご飯を作り続けているんですよね。デスクだったころは、美術やキャラクターデザインにもすばっと意見を述べていくという型破りな仕事スタイルだったようですが、それだけアニメーション制作にかける思いが強かったことが伺えます。「ただがむしゃらに、ひたすら前に進んでた。やりたい事をやり続けていた。そして気が付くとこの年になってた。それだけさ。」と言っていますが、そのそれだけの中にもたくさんのエネルギーがこもっているはずです。個人的には、丸川社長の若い頃の声と平岡の声が同じ人というところにも、なにかメッセージのようなものがあるんではないかと感じています。

ふりかえり

入社してからしばらくは雑に仕事をこなすだけだった平岡が、これまでに見てきたようなトラブルに再度会って沈んでいたところ、みゃーもりのフォローとタローのいい意味のゴリ押しで救われ、再び制作の仕事に向き合いはじめた話がありますが、彼もまたアニメーション制作にのめり込んでいた過去があり、それがあるからこそどんなにやさぐれていても仕事を続けてきたのでした。こういう「初心」てつい忘れがちですが、思い出してみると新しい発見があったり、気持ちのリセットになったりするので、大事なときに思い出せるようにしておきたいものです。